都会と地方の格差。

重要と供給のバランスが取れていると労働の対価に大きな変動はありませんが、供給より需要が高いと労働者の奪い合いが起こり、労働の対価は上がるのが原則です。しかし、介護の現場ではこの原則が当てはまらず、介護士への需要は高いものの、未だに介護士の給料は低く抑えられています。一方、同じく供給より需要が上回っている医療現場では、医師や看護師の待遇は改善され、高収入を得ている人も少なくありません。

病院を運営するには決まった数の医師や看護師を配置する必要があるように、介護現場でも決まった数の介護スタッフを配置しなくてはなりません。医療も介護も保険料で賄われていることもあり、公定価格上限の影響を受けます。そのため、病院では自費診療を行うとこでなくては医療従事者に高給を払い続けることは困難です。同じように、介護施設でもスマートシニアを対象にしているようなとこでなくては、介護スタッフに高給を払い続けることは難しいでしょう。保険料を収めている人は日本国内であれば同レベルの福祉が受けられるので、利用者からすると便利な制度ですが、働き手としては一概に良いとは言い切れません。

そのため、関東地方で働く介護スタッフが毎月20万円稼ぐのと、地方都市で働く介護スタッフが毎月20万円稼ぐのとでは、生活のゆとりが大きく異なります。家賃など何から何までが高い関東地方では、給料20万円のうち貯金できるお金は僅かになりますが、その反面、家賃や物価が安い地方都市では給料20万円でも貯金に回せるお金は多くなります。日本は介護を平等に受けられる権利を有している人が多くいますが、介護を提供する側は決して平等ではないのです。関東で働く際に介護の仕事に注目している人は、このことを考慮しなくてはなりません。